不動産投資は住宅ローンに悪影響はある?
不動産投資をしている人は、住宅ローンの審査に落ちやすい傾向があります。自己資金だけで不動産投資をしている場合は問題ありませんが、ローンで投資物件を取得した人においては、住宅ローンを利用するとさらに返済比率が高くなります。返済比率の適正値は年収によって異なりますが、概ね30〜35%くらいが一般的です。不動産投資をしながら住宅ローンに申し込むのであれば、希望額を減らすなどの工夫が必要です。住宅ローンで十分な借入れができない場合は、自己資金の比率を上げて住宅を購入することになります。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンはその名のとおり、投資用の不動産物件を購入するためのローンです。近年はワンルームマンション投資など、サラリーマンを対象にした不動産投資が増えてきています。都心ではワンルームの需要が高いので、ひと部屋だけ購入して貸し出すという投資が可能です。不動産投資はハイリスクと思われがちですが、実際はミドルリスクミドルリターンです。株式やFXなどと比較して、リスクの低い投資法として知られています。
不動産投資ローンと住宅ローンの最大の違いは用途で、前者は投資物件用の借入れ、後者は居住向け住宅の取得における借入れとなります。住宅ローンのほうが低金利という理由で、不動産投資物件の購入用に利用するのはいけません。ローンはそれぞれ用途が決められており、それ以外の用途に利用すると規約違反となります。そうなれば今後のローン利用に関わってきて、最悪のケースでは解約を迫られる可能性があります。ローンを利用する場合は、用途以外には絶対に使用しないようにしてください。
借入れできる金額に関しては、不動産投資ローンのほうが高額です。投資物件の場合は毎月の賃貸収入を期待できるので、その分を考慮して高額の借入れが可能になっています。住宅ローンでは5,000万円の借入れをするのは大変ですが、不動産投資ローンであれば一般的な金額です。一方で貸付金利に関しては、住宅ローンより不動産投資ローンのほうが2〜3倍ほど高金利になっています。
不動産投資を先に始めるメリット
最初に住宅を購入してから、不動産投資を始めるのが安心と考えている人は多いでしょう。しかし資産運用という側面で見れば、最初に不動産投資を始めるのが得策です。投資は早くから始めるほど大きなリターンを得られるからです。投資は何歳からでも始められますが、開始時期が20代と60代ではチャンスが大きく変わってきます。若くから始めておけば資産の増加率が増えるため、将来的にセミリタイアを実現できる可能性が高くなります。
まとまった資産を構築できれば、住宅ローンを組むときも有利になるでしょう。頭金を多く入れることができれば、借入れする総額を減らせます。すると利息の節約にもなるため、結果的に支払い総額を抑えられるわけです。高額の借入れにおいては、適用金利が低くても相当な利息が発生します。それゆえ借入れする金額をいかに抑えるかが重要になります。借入額に比例して利息も減るのは、すべてのローンに共通する大原則です。
不動産投資を先に始めたい理由には、不動産投資ローンの審査に通過しやすいこともあります。20代〜30代は比較的ローンを組みやすいですが、40代以降になると不利になってきます。不動産投資ローンや住宅ローンは、ローン完済時期から逆算して無理なく返済できるか精査されるのです。そのため若いほうがローンの審査の通過率が上がるのが一般的です。ただし就職した直後では勤続期間が短いので、3年くらいは勤続してから審査に申し込みするのが得策でしょう。
先に不動産投資ローンを開始するメリット
住宅ローンの契約をする年代は30代以上の人が目立ちます。若くしてローンを組んだほうが完済時期は早くなりますが、収入の安定性や勤続年数を考慮すれば、社会人になって10年程度経過してからのほうが都合がよいです。一方で不動産投資ローンに関しては、なるべく早く始めるのが得策です。投資全般に共通するのは、福利の原則が作用するので早く始めるほど有利になることでしょう。資産が膨れ上がるほど、得られる収益も大きくなるのです。
住宅ローンを組んでから不動産投資ローンを組むとなると、ハードルが高くなってしまいます。住宅ローンの返済が大変な状態で、新たにローンを組むのは容易ではありません。金融機関からの評価も低くなる傾向があり、不動産投資ローンの利用を諦めてしまう人が多いのです。現在は銀行に預金をしていても、ほとんど資産が増えない時代になりました。資産を増やすためには、貯金ではなく投資という選択肢にいかに早く気づいて実行するかが重要です。
不動産投資ローンは金利が高めですが、それ以上の収益を得られれば資産を構築できます。自己資産が増えれば、ローンを組まずに住宅を購入できるかもしれません。先に不動産投資ローンを開始したい理由には、投資スキルを学べることもあります。投資のノウハウを身につけるためには時間がかかるので、今から始めるほど有利です。年齢を重ねるほど悪い意味で臆病になってしまい、何をするにも腰が重たくなってしまう現実があります。
先に不動産投資ローンを開始するデメリット
住宅ローンの前に不動産投資ローンを利用すると、金融機関から投資用物件に対して抵当権が設定されます。これは、借り主の返済が滞った際に物件が差し押さえの対象になり、競売にかけることで返済分を回収できる権利です。つまりローンの完済まで、投資家は投資用物件が差し押さえられるリスクを背負うことになります。
また、住宅ローンの金利と比べると、不動産投資ローンは高い設定となります。さらに変動金利の場合には将来的に利率が上がってしまう事も考えられます。
先に住宅ローンを組みメリット
住宅ローンは事業用のローンではないため、金利が低いことが特徴です。このため審査基準も低く、ハードルは比較的低くなります。
先に住宅ローンを組む上で大きなメリットは、自宅に対する条件や希望を優先できることです。予算が多ければ多いほど、マイホーム購入の自由度は上がります。このために融資は多く受けたい所ですが、不動産投資が影響して融資額が減る場合があります。
不動産投資ローンが先の場合は残債が影響するため、理想のマイホームのための十分な融資が受けられない可能性があります。
借入可能額が下がった場合は予算に合わせるために、マイホームの条件や希望を下方修正する必要が出てきます。マイホームの質を優先したい場合は、先に住宅ローンを組むことは視野に入ります。
住宅ローンが先の場合には、節税にもメリットがあります。不動産投資の所得は総合課税の対象であり、これが赤字の場合には本業の収入との損益通算により、課税対象の額を下げることができます。
先に不動産投資が赤字の上で住宅ローンを組もうとすると、本業から赤字分を差し引いた額が融資審査の対象となるため、不利となります。先に住宅ローンを組み、その後不動産が赤字になった場合には、節税に利用できます。
後から不動産投資ローンを組む際には、十分なキャッシュフローを確保しましょう。不動産投資で十分なキャッシュフローが確保できるかどうかと、より多くの自己資金を用意することが、安全性を高めます。
先に住宅ローンを組みデメリット
住宅ローンを先に組んだ場合のデメリットとしては、住宅ローンが負債として扱われる点があります。自宅の購入費用であり、収益が発生するわけではないため、不動産投資ローンを組む時には単純な既存借入れと見なされることが多いです。
このため、後から不動産投資ローンを組もうとした場合に、既存借入額が多いためにもう借りられない、思ったよりも少ない金額しか融資されないという状況はありえます。こうなると対応は難しくなります。
なお不動産投資ローンが先の場合では、運営がスムーズな限りは負債とは見なさない金融機関も存在します。
また売却時には生活環境に大きな影響を与えます。職場や学校、実家との距離などを考慮して購入したマイホームから、引っ越すことになるためです。このため住宅ローンが先の場合には、物件の売却がしにくいとされています。
なお住宅ローンを悪用し、不動産投資に利用している人がいるとの報道が過去にありました。これは禁止されており、もしもそのようなことが判明した場合には、借入金の全額一括返済を求められた上で、その金融機関では二度と借りることはできないとの処置がされることもあります。このような違反行為を勧める不動産業者もいるとされています。
もしも投資用物件を住宅ローンで購入してしまった場合には、取り返しがつかないことになるかもしれないということです。これも先に住宅ローンを組むデメリット、注意点と言えるでしょう。
ローンの返済期間の違い
不動産投資ローンと住宅ローンの違いで大きなものの一つは、返済期間です。
住宅ローンの場合、35年とされることがおおくあります。これは多くの金融機関が各々定めている住宅ローンの返済期間が、35年であることが多いためです。必ずしも35年である必要はなく、また誰もが最長期間を設定されるわけではありません。
長期的な支払いが求められるため、勤務先や年収だけではなく、年齢制限があります。多くの場合は20歳から70歳まで申込可能としており、80歳までに完済することが求められます。この関係上、35年ローンを組むことが可能な現実的な年齢は、45歳までとなります。同じ理由で、高齢であればあるほど審査は厳しくなります。
不動産投資ローンには年齢制限が無いのが一般的です。人よりも物件が重視されます。このため物件の耐用年数が返済期間に影響することがあります。このため、木造かマンションかなど、物件の耐用年数が返済期間の影響を受けます。
ここでいう耐用年数は、法定耐用年数を指します。木造は22年、厚さ4ミリメートル以上の鉄骨造では34年、鉄筋コンクリート造では47年とされています。
一般的にはこれに連動する形で各金融機関が融資期間を決定します。頑丈な造りであるほど長くなり、例えば鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年ですが、それを超える55年を耐用年数として扱う金融機関もあります。
このように構造や返済期間を加味して考えることでキャッシュフローや出口戦略を組むと良いでしょう。
まとめ
不動産投資ローンの場合は、運用次第で収益が見込まれます。これにより自己資金を貯め、マイホームの資金とすることもできます。先に住宅ローンを組んだ場合、これ自体では収益の足しにはならず、不動産投資ローンを組む場合には負債とカウントされやすくなります。収益を優先したいのか、マイホームを優先したいのかで、正解は分かれます。
マイホームを優先したい場合はまず住宅ローンからがおすすめです。これにより十分な資金調達が期待できます。
一方で収益を上げたい場合には、不動産投資ローンを先に組むことがおすすめです。住宅ローンは借入金として認識されるため、先に住宅ローンがあればその分不動産投資ローンに影響があるからです。運用資金が多ければ、収益もその分期待できます。
不動産投資ローンは事業性のローンであるため、その分審査は厳しいです。万全に望みたいならば、こちらが先のほうがいいでしょう。
ただし、住宅ローンを利用して不動産投資に利用することは違反となり、金融機関から一括返済を求められるケースもありますので、絶対にやめましょう。心無い業者がそうするよう勧めるケースもあるとされているため、信頼できる相談相手を探すことも重要となります。
年齢制限の有無は大きな違いであり、不動産投資ローンは年齢制限がないため、老後の資産運用としても視野に入ります。人よりも物件が重視され審査されるため、耐用年数が高い鉄筋コンクリート造などを選べば、返済期間が長くなることも期待できます。